サクラソウ

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「何だよ。気持ちよく寝てたのに」 そう愚痴をこぼした。 「拓人ーー。転校生の自己紹介の時から爆睡かよ」 彼の友達らしき男子がそう言う。 「しょうがねぇだろーー。眠いんだから」 そう言うと、クラスの皆は笑う。 佐川拓人君、 見た目はけっこうカッコイイけど、 不真面目で、チャラそう……。 いいように言えば、 明るくて、クラスのムードメーカー、 それが私の第一印象だった。 何か少し苦手かも……。 ああいう人は……。 私がそんな事を考えていると、 佐川君と友達はヒソヒソと何かを話していた。 「なぁ、拓人、けっこう可愛くない? 藍月さん。 隣の席なんていいなぁ、変わってくれよ」 「健斗は本当に女のことばっかだな。 まぁ確かに藍月は可愛い方だとは思うけど。」 何て言ってるのかは聞き取れなかったけど。 「皆さん静かに。 これで朝のHR終わりです。 次の授業の準備してくださいね。」 そう言うと、先生は教室から出て行った。 私は先生から指定された席に座る。 すると、3人の女子が話しかけてきた。 「初めまして。 花恋ちゃんだよね。 私は松崎莉奈」 そう自己紹介したのは、可愛らしいツインテールの子。 「私は谷口江梨花。 よろしくね」 次に自己紹介したのは、ロングヘアーの大人っぽい顔の子。 「私は橋本胡桃ーー。 よろしくねーー」 最後に自己紹介したのは、ふわふわとしたセミロングヘアの子。
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