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「そう。でも、最後まで、大和の帰りを待っていた。絶対に帰ってくるからと、何を言ってもきかなかった」
六沙は、苦しみから逃げなかったという。
「俺も逃げられないよね……」
幼馴染で、親友で、ライバルであった。
「六沙が言っていた。大和は、仲間が多くていつも囲まれていた。それが大和の強さで、自分は勝てなかった、と」
俺の強さは、仲間なのか。ここに居る仲間の顔を、一人一人確認してみる。
俺は、こいつらに頼りにされたくて、頑張っている。
もし戦闘で、一人でも失えば、俺は誰よりも泣く自信がある。本当に情けない、頭領代行だ。
時季が来ると、酒を注いでくれた。響紀は、魚を持ってやってくる。ちゃんと、刺身は、俺の嫌いな赤身を置いて来ている。
「ありがとう、時季」
一緒に生きてくれて、ありがとう。
「響紀。ありがとう」
一人ではないということが、今は、とてもうれしい。
『呱呱』了
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