第1章

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「そう。でも、最後まで、大和の帰りを待っていた。絶対に帰ってくるからと、何を言ってもきかなかった」  六沙は、苦しみから逃げなかったという。 「俺も逃げられないよね……」  幼馴染で、親友で、ライバルであった。 「六沙が言っていた。大和は、仲間が多くていつも囲まれていた。それが大和の強さで、自分は勝てなかった、と」    俺の強さは、仲間なのか。ここに居る仲間の顔を、一人一人確認してみる。  俺は、こいつらに頼りにされたくて、頑張っている。  もし戦闘で、一人でも失えば、俺は誰よりも泣く自信がある。本当に情けない、頭領代行だ。  時季が来ると、酒を注いでくれた。響紀は、魚を持ってやってくる。ちゃんと、刺身は、俺の嫌いな赤身を置いて来ている。 「ありがとう、時季」  一緒に生きてくれて、ありがとう。 「響紀。ありがとう」  一人ではないということが、今は、とてもうれしい。 『呱呱』了
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