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俺も、時季と響紀と離れて死ぬなんて考えたくもない。共に生き、共に死にたい。
鍋を食べ終わると、窓辺に座り、山を見る。それから、大広間を見ると、まだ皆は食べていた。
「この景色を、五羅も見ていたのか……」
いつも窓に座って笑っていた五羅を、少しだけ理解したような気がした。一緒に戦う仲間を、しっかり目に焼き付けておきたい。
「俺は強くなります。五羅に負けないようにね」
響紀は、再び、俺の指を見る。俺の指に何かあるのか。俺も自分の指を見ると、五羅の指輪が少し光って見えた。この光は、五羅にも繋がっている気がする。
「俺も、勝ちたい……」
常に最強であり、かかって来いとばかりに、構えてくれた五羅は、本当にかっこよくて憧れであった。俺も、どうにか勝ちたくて、日々、あれこれ考えていた。
「最強か……」
鍋が終了すると、響紀と山道を歩き、ソニアへと帰る。
「雪家にいるメンバーは、時季と左雨と榛名、当麻、御厨、雪路、比企(ひさ)、枸杞(くこ)と姶良か」
これだけメンバーが居れば、補足する必要もない。
「当麻、榛名、雪路で雪家の保護、御厨、比企、枸杞で雪家のノウハウの引継ぎ、時季、左雨、姶良で観測所の対応です」
「そうか」
やはり、人数的には十分であった。
「それでは、響紀と俺で出発するか。明日といわず、今でも可能だな」
軌道に出て、自動操縦にすれば、ゆっくり眠れる。
「行くか……ソニア、出る」
湖に叫ぶと、ソニアが俺を収容してくれた。
さて出発するという寸前に、誰かが勝手に乗り込んできた。ソニアに勝手に乗り込める人間など、そうそういない。
「火威さん……」
その怪我で、何をしたいというのだろうか。
「火威でいい」
火威は、コクピットで腹を押さえて、丸まっている。痛いのならば、病院で寝ていればいいのだ。
「病院に行かないと、当麻に治療させますよ」
「当麻、復帰しているのか!」
そういえば、五羅が行方不明になったときは、当麻は鬼城を離れていた。
「復帰しています。名医でも、迷医のほうですけどね」
「そうか、良かった。当麻の治療ならば、いいか……」
しかし、コクピットにいられると、どうにも落ち着かない。火威が小柄であっても、青い顔で転がっていられると気が散る。
「出発しますので、降りてださい」
「嫌だ。俺は病院で死にたくない!」
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