第1章

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天陽不座4 『呱呱(ここ)』 第一章 淡雪  宇宙で五本指に入る規模と実績を誇る、セキュリティサービス、及び、シークレットサービス専門家集団、鬼城家。  しかし、鬼城家に属しているだけでは、金にはならない。鬼城家は完全歩合制で、働かなければ給料はない。  鬼城家は、組と呼ばれる組織別に仕事を請負う。組は会社形式であったり、チームであったり形式は問わない。但し、組には鬼城と名前を持つものが、一名以上存在しなくてはならないという条件がある。その為に、俺は鬼城の養子を辞められず、鬼城の名前を名乗っている。  俺、鬼城 大和(おにしろ やまと)の所属する組、鬼同丸で一番強いのは経理であった。 「大和さん。仕事を決めてください」  ソロバンを持って追いかけてくるのは、左雨(さっさ)鬼同丸の経理であった。 「仕事。はい!分かりました。口入屋に行ってきます」  口入屋とは、鬼城の仕事斡旋事務所のような場所であった。 「そもそも、ソニアの燃料費が、鬼同丸の一番の支出なのですよ。分かっていますか?それを住居にしないでください」 「はい。ごめんなさい」  俺は、追い出されるように、鬼同丸の建屋から出ていた。 「又、左雨に怒られましたか?」  庭で、鶏の面倒を見ているのは御厨(みくりや)であった。 「あの煩さは、まるで、百武(ひゃくたけ)が増えたようだよ……」 「何か言いましたか?」  百武が、庭で農作業をしていた。御厨も百武も、S級と呼ばれる、かなりの腕なのだが、こうやって鬼同丸は自給自足のような生活もしている。 「百武。鬼若衆のS級は特S級に上がって欲しい。そして、昔から鬼若衆のAS級をS級にしたい」 「そのつもりで、頑張っていますよ。鬼同衆は新メンバーと組みますか?」  鬼同衆は、現在五名。単独では仕事ができない人数であった。新規に加わった、左雨と榛名には、特S級を目指して貰っている。 「口入屋に行ったら、帰りに、鉄鎖(てっさ)に寄ってくるよ……」  左雨と約束もしている。 「そうですか、鬼同衆に、袈裟丸と御厨を入れてください。鬼同衆は新しくS級を増やしますから、心配は無用です」  それはありがたいが、素直に頷けない。鬼同衆も、チーム編成に苦戦していた。 「考えておく。俺は、鬼若衆は鬼同衆のライバルとなるチームだと思っている。その主要人物を抜き難いよね……」
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