第1章

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 何度しても、全然上手にならない俺の体を、響紀は懲りずにまた仕込む。殺し屋の技も、技術も、ここでは何の役にも立たない。  俺は、尻を、揉まれても、感じて喘ぐという真似もできないほど、不器用でもあった。 「全然、上達しなくて、ごめんな……」  響紀は、満足?したのか、尻をやめ、全身を丁寧に洗ってくれた。 「いいえ、シェリエは常に処女。その伝説を別の意味で実感しています」  もしかして、シェリエはこういう面では鈍いのか。  響紀とキスすると、目を閉じる。響紀の腕の中、ここは、すごく安らぐ、まるで、羊水の中のようであった。安心して、眠れるような場所。 「だから、何度も言いますが、この前は風呂で眠って沈みましたよね。今度はシャワーで眠りますか」  慌てて、響紀が俺を抱えた。 「全く、眠っていても、容赦できませんよ。それに、浮気のお仕置きです」  今度は、背中越しに響紀がいる。俺は、手で持ち上げられ、そっと降ろされた。 「うわ、ムリ、ムリ……」  慣らされずに広げられて、体が悲鳴をあげていた。内臓に痛点はない。でも人間の表面は、鋭敏であった。  響紀に手を添えてみると、まだ、ほとんど残っている。たったこれだけで、こんなにも圧迫されているのか。あと、これだけ入れなくてはいけないのか。 「響紀、そこのローション取って……」  少しは自分でどうにかしてみよう。響紀が笑いを堪えるが、その堪えても漏れてくる腹筋の揺れがそこで感じられるのが、俺には微妙な気分だ。 「響紀、ムリだって……」  どこまでが鋭敏な表面なのか、響紀がほんの僅かに動くたびに、恐怖が全身に響く。 「こわくないよ、大丈夫」  でも、これは、どうしようもない。手が震えて壁にすがる。壊さないように動くな、そんな命令が本能からやってくる。 「大和、すごく可愛い。小さくて、ピンク色で、もぐもぐ動いて……」  見ないで欲しい。余計に緊張して、固まってしまった。 「ほら、緊張すると、どんどん締めるよ。大和、俺に任せて、俺を信じて」  首に響紀がキスをする。 「……うん……」  俺は響紀を信じている。でも、そこで、大きくならないで欲しい。じっと慣らそうと我慢していたのに、痛みが走る。でも、痛みの中に疼きを感じる。  もっと、もっと響紀が欲しい。  俺に、しっかり響紀を刻んで欲しい。 「じゃ、いきますよ」  俺が、小さく頷くと響紀が動き出していた。
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