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雪家も古い組で、規模もかなり大きかった。二百人は組員がいたのではないのだろうか。
「理由は何ですか?」
戦闘で全滅であったのならば、応援要請があってもいい筈であった。
「それが、インフルエンザ。らしい。雪家は血縁での結婚が多く、見分けがつかないほどの似た容姿を誇っていた。任務地で一人がインフルエンザにかかり、あっという間に、ほぼ全滅となった」
現在、七名が生存し、任務を継続しているが、存続は難しい状態であった。
「任務は何ですか?」
「観測所の警備と、メンテナンス。ただ、吹雪しか天候のない場所でね」
朝も夜も、毎日、吹雪いている土地なのか。
「ソニアならば、吹雪でも離着陸が平気だろう。まず、雪家の保護と、任務の継続をお願いしたい」
鬼同丸以外の、全部の組に断られたのだそうだ。原因は、天候が悪く、宇宙船の操縦が難し過ぎる。寒さで機材が動かなくなる確率が高い、らしい。俺達は以前、極寒の地で仕事をしていたので、実績もあった。寒さで、動かなくなる機材も予測がつく。
「ソニアは燃料費が高すぎて、きついですよ。これはS級でいいのですか?」
また、左雨に怒られてしまう。
「鬼城のプライドもかかっているから、SS級だろうね。大和、申請しているだろう」
確かに、SS級の申請をしていた。
「必ず、当麻を連れてゆけ。今、当麻は火の屋にいるのか?当麻を引き上げて向かうように」
インフルエンザで、雪家が絶滅したら、一羅も困るのだそうだ。寒冷地での仕事は、いつも、雪家が引き受けていた。そのノウハウは、他の組にはない。
当麻は変人ではあるが、有能な医師なので、雪家を救えるのかもしれない。
「引き受けましょう。詳しくは、時季と鬼城の担当者で話をつけてください」
俺は、細かい話が苦手であった。
「そうだね。で、大和。死んだ雪家を数人、蘇らせてはくれないか?」
「それは、断ります。蘇っても、寿命は十年ですよ。しかも、水が無ければ死にます。雪家に南国の海に行けというのは、酷すぎます」
一羅が困ったように頬を掻いていた。
「それがね。暗証番号というのか、セキュリティを解除する方法を知っている人間が、皆死んでしまってね。中のメンテナンスが出来なくなっている」
そのセキュリティの解除というのが、電子的ではなく、組んだ木のようになっていた。どれかを動かすと、何かが動くを繰り返し、扉が現れていたらしい。
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