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かつて、家族を殺されて暴走し、宇宙戦争を巻き起こした男、孝太郎。こうして穏やかにしていると信じられないが、何十万人という人を亜空間で殺してしまった。
「会いたいね。武尊やジュリアンも元気かい?もう何年もたってしまったので、会っても分からないかな」
「いいえ、二人は、貴方と戦った時間のまま、止まっていますよ。決着をつけるまで、そのままかもしれません」
俺の両親は、そのままの姿で生きている。
「……でも、孫は沢山いますけどね」
孝太郎は、鬼城から排出してしまった、大罪人であった。大罪人が、こうして目の前にいるというのに、どうしてなのか、懐かしい。でも、孝太郎は、俺の両親を傷つけ、仲間を殺しているのだ。
「大和君、君も殺したいけど。後ろで、殺気があってね。のんびりともしていられなくなった」
優しい笑みのまま、孝太郎は怖い事を言う。
柔らかなくせ毛を跳ね上げた、優しい雰囲気の孝太郎、背が高くいつも笑みを浮かべていた。
「大和!どうして、こんな場所に居る?ここがどこか分かっているのか?」
走りこんで来たのは、纐纈(あやめ)であった。五羅の幼馴染で、鬼同衆の最初からのメンバーだ。よく笑い、よく喋る纐纈は、鬼同衆の中でも後輩の面倒をよくみてくれていた。
「……纐纈さん」
今の鬼城を知っているので、纐纈が懐かしく感じる。
「ボケっとするなって。前にいるのは、孝太郎だぞ!」
纐纈が、俺を担いで走っていた。
「大和。軽いな」
担がなくても、俺も走れる。でも、地理感がないので、指示を出すよりも担いだ方が早かったのかもしれない。
走ってみると、ここは実際の街ではなく、創造の街のような感じであった。レンガ造りの家の先には、藁屋根の農家があったりもする。空間を切り貼りして出来た町のようであった。
「ここで休憩」
かなり離れた場所で、纐纈が俺を降ろす。そこは公園のようになっていて、遠くで、人もいないのに無人のブランコが揺れていた。砂場の砂が、山になっているが、子供の姿はない。鬼城にもあるような、普通の公園であった。
この町には、どこにも人の姿は無かった。
「纐纈さん。五羅様もいるのですか?」
「いるよ。でも、ここも危険だよな……」
纐纈は周囲を見ると、俺をじっと見つめた。
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