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「時季と響紀は、俺の命と同等。二人をどうこうするのならば、死ぬ覚悟は俺がしなくてはならないこと。まず、俺を倒してください……」
五羅が、俺をじっと見つめてから、俺の肩をポンポンと叩いた。
「わかったよ」
五羅が目配せすると、綾瀬がどこかに消えていた。
「さてと、こっちにおいで、大和」
おいでと言われて、行きたくない気もする。でも近寄ると、おもいっきりハグされていた。
「で、来た理由を聞こうかな?」
来られると思って、来たわけではない。でも、一羅の容態が悪く、触れたら来てしまったことを告げる。他に、桜川の実験で、蘇りの菌があることも知らせた。
「孝太郎ならば、家族を蘇らせたいでしょう」
孝太郎のことなので、きっと家族の遺体を亜空間に保管している。しかし、蘇らすには、海を必要とするので、亜空間を出なくてはならないだろう。そこに、五羅が戻ってくるチャンスがあるのではないのか。
それに、この時間が止まった亜空間では、菌も時間が止まり、繁殖できない。
「亜空間に孝太郎を閉じ込めるというのも、方法だけどな。ここでの時間稼ぎも、限界かもしれないしな。相討ちを狙ってみたけど、あっちの能力も相当でね……」
孝太郎の亜空間使いの能力は上で、亜空間の中では五羅でも勝ち目はない。外に出て決戦に持ち込むというのも、方法なのかもしれない。
「俺の亜空間の中の、桜川の施設を渡します。そこに菌もあります」
五羅がそっとキスしてきたので、ついでに亜空間を中身ごと渡す。
「げげ、海ごとか……」
桜川の病院が海に沈んでいたのだ。その区画ごと取り込んだので、海もある。この海は、菌があるので危険でもあったのだ。誰にも渡せないだろう。
「塩辛い……」
よく亜空間の内容まで把握できるものだ。五羅が、再度キスしてきた。
「……愛しているよ、大和。この腕の温もりだけが、俺の全て……」
俺は、亜空間に飲まれる前は、五羅とキスするなんて考えたこともなかった。五羅は、兄のような存在であり、鬼同丸の頭領であった。俺が一羅の養子だとすると、五羅は俺の義理の叔父にあたる。
キスのついでに、実験船の廃材も五羅に送ってみた。
「又、海か……どんな仕事をしていたのだ……」
今度は桜川の星で出た、木材も渡してみた。飛行場のために、木を切り倒したのだが、使用用途のなかった材木を、もったいないので保管していたのだ。
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