第十章 光彩陸離

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「行くぞ!」  五羅が立ち上がると、 チームが一斉に立ち上がる。 いつ見ても、鬼同衆はかっこいい。 五羅に負けはない。そんな気分になってくる。 「じゃ、大和、愛しているから浮気するなよ」  最後の一言は多い。  五羅の半被の背に刺繍されている、 赤い竜が、朝日に光り生きているように見える。 「行ってらっしゃい!」  賑やかに、挨拶の声が響いてゆく。  五羅が去ると、そっと、時季が寄ってきた。 「キスもしていないわけか?」 「そうだよ」  時季が、雪緒を見つめる。 「雪緒が熊のままを維持ということは、 雪緒とはしているということだよね」 「そっちは、五羅も許すのだよね」  抱く方は、五羅も許すのだ。 しかし、俺も思うが、雪緒とは何なのだろう。 ここを突き詰めると、俺は五羅と寝てもいいような気もする。
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