第十章 光彩陸離

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 そこに時季もやってくる。 「二人で仲良く、飯ですか?」 「まあね。時季も食べるか?」  インスタントを食べていると、月森に泣かれるので、 こっそりコクピットに隠しているのだ。 インスタントというのは、美味しいというわけではないのに、 時折、妙に食べたくなる。 「食べる。で、孝太郎の妻子はな、鬼城に住んでいなかったよ。 っていうか、娘が病気がちで、よく病院に入院していた」  すると、桜川ならばわかるのかもしれない。  ふらりと響紀もやってくると、 一緒にインスタントのラーメンを食べていた。 「そうそう、かわいい娘でね。どこか六沙にも似ていたよ。 一回しか見た事がないけどね」  そうか、娘がいたのか、 父親にとって、娘というのは特別に可愛いものかもしれない。
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