第十章 光彩陸離

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 で、その病弱な無力な娘が、殺されてしまい、 孝太郎は狂ってしまったのだろうか。  俺にも娘がいたので、よくわかる。 「なあ、孝太郎が亜空間に物を詰め込み、 ブラックホールを作りだしているけどさ、 それはそれで凄いけど、入れた物は取り出せないよね」  ブラックホールを亜空間に作り出すというのは、凄いのだが、 亜空間が狭いと、何も取り出せなくなる。 重力から出られなくなってしまうのだ。 「変だよね。妻子はどこに格納している?」  孝太郎が一番大切にしている妻子の死体を、 ブラックホールに格納するはずがない。 しかし、一羅の亜空間に、 ブラックホールのほかに格納スペースを作る広さはない。 ブラックホールでも、十分に凄いのだ。
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