第十章 光彩陸離

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 ビナマナカハナは、海だけの星であった。 青い海はどこまでも深く、魚の宝庫であった。 この星で出会った青年、トーヤも元気であろうか。 この海に生息する菌は、人を蘇らすが、 それは菌が人間に擬態するだけの現象でもあった。 擬態の期間は、約十年。 トーヤは詳しくは言わなかったが、十年近く前に菌に感染していた。  海が光を反射させて、光っていた。 光の中に降り立つと、本当に海しかなかった。  四方が海で、上は空しかない。  海に飛び込むと、海水を思いっきり取り込む。 底まで泳ぐと、又、海水を取り込んでみた。  砂や海藻も一緒に取り込み、亜空間にちょっとした海が出来た。
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