第十章 光彩陸離

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 海面に顔を出すと、ソニアが遠くに見えていた。 「大和様」  小舟に座って、御卜が笑って見ていた。 しかし、記憶の中の御卜と大きく異なる。 まず。結構逞しい。 昔は、町中の若者のようであったが、 今は、海の男という雰囲気になっていた。 「一二三(ひふみ)こっちだ!」  源 一二三も銀狐のメンバーであった。 源も、逞しくなっていた。 「海、水と接していれば、手で触れるように分かります。 大和様、変わらずに、すごく綺麗だ」  でも、笑顔は優しく、やはり御卜であった。 「あれ、トーヤは?」  トーヤの姿が見えない。 「トーヤは海に還りました。町の者も多く、海に還りましたよ」  亡くなってしまったのか。 トーヤがいない海は、御卜を大人にさせたのかもしれない。
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