1 新人と俺

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 内心で毒づいたところに、終業のチャイムが鳴った。同期が席を立ちながら笑う。 「志賀は優しいよな。残業までつきあってあげてるのか。良い先輩だね、マキちゃん」 「はいっ! 先輩はほんとうに、」 「無駄口はいい。早く仕事片付けろ!」  叱り飛ばすと、近藤はさすがにしゅんとする。それを横目に、同期に『お疲れ!』と、そっけなく声をかける。 「お先に。……志賀もほどほどにしとけよ」  同期がトーンを落としてささやいていく。  ほどほどに? 甘やかされてダメになるのは近藤なのだ。俺はこころを鬼にして、近藤の挙動に目配りしつつ、自分の仕事に戻った。
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