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内心で毒づいたところに、終業のチャイムが鳴った。同期が席を立ちながら笑う。
「志賀は優しいよな。残業までつきあってあげてるのか。良い先輩だね、マキちゃん」
「はいっ! 先輩はほんとうに、」
「無駄口はいい。早く仕事片付けろ!」
叱り飛ばすと、近藤はさすがにしゅんとする。それを横目に、同期に『お疲れ!』と、そっけなく声をかける。
「お先に。……志賀もほどほどにしとけよ」
同期がトーンを落としてささやいていく。
ほどほどに? 甘やかされてダメになるのは近藤なのだ。俺はこころを鬼にして、近藤の挙動に目配りしつつ、自分の仕事に戻った。
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