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『カーシェアリング利用者、Bさんの場合』
Bさんは、とある大病院の医院長。
彼には、奥さん以外に若い愛人がいた。
愛人とデートする時…
Bさんはカーシェアリングで借りた車を利用した。
自家用車で不倫デートして、もし誰かに目撃されたら…そこから『アシが付いてしまう』かもしれない。
と、言う訳でBさんは浮気の時だけは、借りた車を利用していたのだ。
さて…
今晩もBさんは、いつもの様に助手席に愛人を乗せ、夜道をひた走っていた。
愛人は、真っ赤なコートに身を包み、お色気ムンムン。
「ねぇ。先生。奥さんと別れてよ」
彼女が運転中のBさんに言って来る。
「何っ?!」
慌てるBさん。
「愛人以上の関係にはならないって…約束したハズじゃないか!」
「そうなんだけど…。
やっぱり、いつまでもこのまんまの関係だなんて…イヤ」
「う~ん。そういう事なら別れようか。俺達」
「何ですって?!」
愛人さん逆上!
「先生!私を捨てる気なの?!私…絶対に先生と別れないわよ!
絶対に…別れニャイっ!」
え?
今、彼女…
『別れニャイ』って言ったか?
と!
「フーッ!」
突然!
愛人が猫みたいな変な声をあげると!
何と!ハンドルを握ってるBさんの首を絞めてきたではないか!
「おい!何するんだ!やめろ!」
「お前っ!昨日の…ドライバーニャのかっ?!」
と、今度は訳の分からない事を言い出した!
「何を言ってるんだ!」
見ると…
彼女の両方の黒目…
まるで猫の瞳の様に…
『縦長』に!!
「猫の…オバケ!」
『ドーン!』
木にぶつかって、車は停まった。
Bさんが助手席を見てみると…愛人が頭から血を流して、ぐったりしている!
「おい!」
脈をとり、瞳孔を見る。
「死んでる…」
ヤバい!どうしよう!
一度、帰宅したBさんはスコップを持って、借りた車で近所の『K山』へ行き、山奥の草むらに愛人の遺体を埋めた。
腕時計を見てみると…
深夜3時…。
「ウシミツ時か…。俺が不倫してた事は、俺と彼女しか知らないハズ…。きっと、バレやしない!」
と、Bさんは車に乗り込むと『K山』を下山して、その晩のうちに車を返してしまった。
(借りた車は、なぜか無傷だった…)
『許サニャイ……』
『絶対ニ…別レナイ………』
その次の日…
その車は、あるルポライター、Cさんがシェアする事となるのだが…。
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