0人が本棚に入れています
本棚に追加
・・・というわけで、冒頭の状況。
結構暗くなった屋上でグラウンドを見てみるけど・・・あるわけないじゃん。
「・・・はぁ・・・」
もう2時間くらい。
これだけ探してもないなら・・・私が探せる場所にないんだろう。
職員室かな。
落し物とかで守衛に届けられてるとか・・・。
もしくは、ご意見箱の中に・・・。
「・・・諦めよう。・・・もう一回書けば・・・」
内容は覚えてる。
気持ちを込めたものだから、全く同じじゃなくてもかけるはず。
そんな諦めと、次への気合を込めたところで屋上への階段の音が聞こえた。
私は反射的に階段の横に隠れる。
・・・何で隠れた?
キィッ
屋上の扉が開く。
その後に、屋上に来た誰かの足音。
「・・・いない・・・もう帰ったか?」
聞こえたのは、少し前にも聞いた声。
・・・探利だ。
部活は終わったんだと思う。
でも・・・誰かを探してる?
「・・・いなそうだな・・・明日しかないか・・・」
私は階段の出入り口の直ぐ横に隠れていた。
入ってきて直ぐは見えない物陰。
でも、探利はグラウンドを眺める為にフェンスに手を着く。
その確度からは私は見えるはず。
・・・気付いてないけど。
「・・・こんなんじゃだめかな・・・。奈津のやつ、かなりショック受けてたみたいだし・・・」
・・・私?
探利は私を探してくれてたの?
こんな所まで?
胸がキュンとした。
手紙・・・もう一回書いて、今度は手渡そう。
最初のコメントを投稿しよう!