想いの行方

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探利は相変わらず私に気付かず、独り言をいいながら手に持っている青い封筒を見ていた。 あの封筒、何だろう。 今の話だと、私を元気付けようとしてくれ・・・。 ・・・・・・ ・・・・・・青い・・・封筒・・・? ・・・・・・・・・ 「・・・ああああ!」 「ッ!!・・・おま、いたのかよ!」 思わず叫んだ私に、探利はオーバーに驚く。 ・・・そのリアクションがしたいのはこっちだよ! なんで・・・! 「何でそれ持ってるの!」 「それ?あっ・・・」 私は探利の持つ青い封筒を指差す。 すると探利は・・・慌てたようにその封筒を自分の背中に隠す。 「・・・なんで隠すの?」 「な、何でって・・・」 私は、探利が嘘をついて居た事に怒って詰め寄る。 持ってたんじゃん!私の封筒!私の手紙! 対して、探利はとぼけているのか困惑した表情であとずさりを始めた。 二・三歩、それを繰り返す。 距離がつまらず、私は足を止めて息を大きく吸う。 「・・・それ・・・私が探してたものだよ!!」 「・・・は・・・?」 大声で叫ぶ。夕方の居ない校庭に響いたその声に・・・探利は驚いていた。 「・・・は?じゃないよ!返して!」 「ちょっと・・・あぶなっ・・・あ・・・」 渡す気の無さそうな探利。 奪いとってやろうと、肩をどついてバランスを崩したところで手から封筒を回収する。
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