想いの行方

6/6
前へ
/21ページ
次へ
「・・・な、何で・・・」 「何でって・・・その・・・俺も・・・」 封筒を私に差し出し、真っ赤な顔を反らす探利。 ・・・まさか・・・。 「・・・あ、開けていいの・・・?」 「・・・い、いいから早く開けろよ」 乱暴な言い方に覇気が無い。 私は私で、先ほどとは違い丁寧に封筒を開けようとする。 しかし、手が震えて上手く開けられない。 何とかあけると、その中にはピンク色の手紙が。 ゆっくりと開いてみる。 「・・・っ・・・・・・」 そこには・・・内容は違えど、私の書いたのと同じような文章が書いてあった。 探利の、私への想いが。 思い出が。 ・・・夢じゃない・・・よね? 「・・・あ、あはは・・・気が合うね・・・?」 「・・・お、お前も青好きだって言ったからだろ」 あの封筒を選んだ理由。 私と彼の共通点の”好きな色”。 それを覚えていたから、色を選んだんだけど・・・同じ事をされたみたいだ。 おかげで、こんなひどい告白に・・・。 まぁ・・・いっか・・・。 「えーっと・・・じ、じゃあ・・・よろしく、でいいのかな?」 「よろしくって・・・まぁ、うん・・・」 初々しい2人。 真っ赤に染まる顔とは対照的な、涼しそうな色の封筒が2人を結んだ。 この手紙達はもう、一生失くさないようにしよう。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加