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・・・で、何て書こうかな。
「・・・シンプルに・・・『好 き で す』・・・とか・・・」
ベッドに仰向けになりながら、空中に指で言葉を書いてみる。
その通りに口に出してみて・・・1人で勝手に赤面する。
・・・い、言うのはやっぱり無理、絶対。
緊張で窒息死する。
直接言うのが困難なことを再確認し、改めて机に向かうことにした。
座りなおせば、目の前には手紙を書く準備が整っていた。
気持ちは十分。
後は私の腕だけ。
「・・・『拝啓』・・・とかいらないよね?じゃあ・・・『こんにちは』?・・・でも渡すのは多分夕方・・・」
ブツブツと独り言をつぶやきながら、シャーペンで薄く文字を書いてみる。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「・・・それっぽい?」
まだ冒頭の挨拶。
2行くらいを5分かけて書いた。
それでもスタートは出来た。
勢いに乗ったまま、ゆっくりと書き出し、想いをペンで描く。
「・・・去年クラスで・・・今年は・・・お昼の・・・委員会・・・」
1度書き始めたら、吸い込まれるように集中できた。
きっかけや思い出をなぞり、私の心が揺れた瞬間を赤裸々に書く。
・・・こんなこと、彼は忘れてるんだろうな・・・。
このことも・・・私は忘れられないのに・・・。
「・・・・・・あれ・・・おさまらない・・・」
もう少しのところで、手紙一枚の要領を超えてしまう。
んー・・・。
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