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結局渡し方が決まらず翌日。
大切な手紙はカバンにしまった。
緊張と不安で、朝から少し調子が良くない・・・。
「おはよー、かんちゃん」
「おはよ。ねぇねぇ奈津?」
教室について、親友の”柑菜”に挨拶をする。
奈津というのは私。”奈津美”からとって皆にそう呼ばれてる。
「何?」
「・・・手紙、書けたの?」
ビクッと反応してしまう。
まだ答えてないのに、かんちゃんはクスクスと笑う。
「・・・書けたけど」
「おー。見せてよ」
「い、嫌だよもうっ」
かんちゃんは、私が彼のことを好きだって知っている。
今まで何度か相談に乗ってもらったこともある。
まぁ・・・かんちゃんも彼氏はいないんだけどね。
「ケチー」
「・・・それより、ちょっと一緒に考えて欲しいことが・・・」
話を変える意味も含め、かんちゃんに耳打ちをする。
内容はこの手紙をどうやって渡すか。
私の話を聞いたかんちゃんは、胸の前で腕を組んで言った。
「・・・直接でいいんじゃない?『これ、私の気持ち』とか言って」
「で、出来るわけ無いじゃん」
当然のようにいってのけるかんちゃんは、「何で出来ないの?」とでも言いたげな表情をしていた。
出来たら直接言ってるって・・・。
「んー、じゃあ定番の・・・」
そういって少し溜めるかんちゃんは、教室内をきょろきょろする。
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