想いを置いて

3/10
前へ
/21ページ
次へ
視線が止まったのは彼の机。 「・・・あそこに忍ばせよう」 「えぇ・・・」 ・・・かんちゃんは作戦を練るのが苦手なようで、いたってシンプルな方法を提案してきた。 まぁ・・・間違いなく気付いてもらえるだろうけどさ? ・・・机の中でぐちゃぐちゃになっちゃわないかだけは心配。 「うー・・・」 「ほら、唸ってないで入れてこーい」 「わわっ!」 どうしようかと唸っていると、軽いノリのかんちゃんは私の背中をどついて押し出してきた。 突然のことに驚いた私は、そのまま彼の机の直ぐ横に。 他人事だと思って・・・かんちゃんに好きな人が出来たら覚悟しといてね。 「・・・」 ・・・じっと彼の机を眺める。 普段彼が使っているだけの同じ机なのに・・・何故か少し神聖なものに見えてしまう。 「・・・・・・」 チラッとかんちゃんのほうを見ると、口ぱくで「早く」と言っているのが見えた。 ・・・やるしかない。相談したのは私だし。 ・・・観念して、自分のカバンから手紙を取り出す。 一応周りの視線もきにしたけど、私に注目しているのはかんちゃんだけみたいだ。 「・・・・・・・・・」 そっと机を覗き込み、教科書等が入っていないことを確認する。 ・・・いける。今なら。勢いで。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加