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希望2
そんなとき目の前に舞い落ちるひとひらの桜の花びらが足を止めた。
見上げた視線をおろすと目の前を新品のスーツを着込んだ青年が軽い足取りで歩いていた。
新入社員なのだろうか。どこか晴れがましい気分で胸をはっている。
40年近く前の自分を見るようだ。
そうだ、あの頃はいつも夢と希望に溢れ、心はいつも前を向いていた。
確かに今の会社での仕事は終わったかもしれない。
しかし会社の外には新しい世界がまっているはずだ。
青春とは人生のある時期をいうのではない。心のあり方のことだ。
そんな詩をふと思い出した。
信二は顔を上げると胸を張り、力強く歩き出した。
薄桃色の桜の木の下から一歩踏み出すと、太陽が眩しく輝いていた。
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