1844人が本棚に入れています
本棚に追加
/565ページ
『…もしもし、風希?』
「あっ、水音!ごめんね~今大丈夫?」
『あ、うん。大丈夫だよ』
俺は風志に背を向けてベッドの上であぐらをかいて、水音に話しかける。
風志は興味をなくしたように勉強に戻ってしまった。
「えーとさ、今何してる?」
『今?勉強してるよ。俺のクラスの数学、ちょっと遅れてるからさ』
「あ~そうなんだぁ」
『隼人のノート見やすいし、教え方も上手いから助かってる。ね、隼人』
すると水音の他に声が聞こえた。会長の声だ。
ちょっと照れたような会長の声が聞こえた瞬間、俺はにっこりスマイルのまま固まった。
「…水音、今会長と一緒にいるの?」
『え?あぁ。隼人の部屋で一緒に勉強してるけど?』
わぁーお。
「もうキスはしたんだよね!?じゃあ今夜が2人の初めての夜ーーんぐっ」
「悪いな水音、勉強の邪魔して」
興奮して叫んだ俺の口を風志が後ろから塞いで、スマホを取り上げた。
そしてそのまま俺の肩に顎を乗せ、スマホを耳に当てて水音に謝る。
俺は風志の腕の中でもがいた。
鼻もっ、鼻も塞いじゃってるよ風志…!
『あはは、大丈夫だよ。風希には急かさなくてもそのうちにねって伝えておいてよ』
『み、水音…!?』
「あー…わかった。隼人に頑張れって言っといてくれ」
水音の思わぬ発言に、きっと慌てふためいているであろう会長の姿が目に浮かぶ。
そして通話を切った風志が、やっと俺を解放した。
最初のコメントを投稿しよう!