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『イチの独り言』ファーストアクションまで。
落ち着くために、ピアノの部屋に行く。
窓に手を置き、彼女がいつもいる辺りを見てから、背を預け座り込む。
「はーっ、情けねぇ」
今までのことを思い出す。
なんで、こんなことになったのか。
「この曲さ、コンサートでカッコよくできるようにアレンジして」
友人でプロのピアニストからの依頼。
カッコよくってのが、圭らしい。
「さてと」
指を一本ずつ回し、手首をブラブラさせて、ウォーミングアップ。いつものルーティン。
有名なJポップ、だけど、圭のファン層がどれだけ知っているか。
思わず、口ずさんでしまうように、原曲のイメージをできるだけ生かさないと。
でも、圭がカッコよくパフォーマンスできるように。
意外と難しくないか?
自分もこの曲というか歌詞が気に入ってるから、思い入れが強くなっている。
好きな人ができたら、こんなんだろうなって。
今まで、つき合った女性にはこの歌詞のように、想い入れたことがない。
この歌詞に寄り添えるような恋愛をするなんて、いつかくるのだろうか。
スタンダードに弾いて、楽譜に記入する。
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