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アレンジはコンピュータでやることが増えたけど、この曲はなんとなく、最後までピアノでやりたい。
こちらをうかがうような、視線。
黒い長い髪をなびかせて、鉄格子の奥から立ち止まって見ている細身の女性。
自分も毎日、決まった時間にピアノを弾くわけではないから、いつも、彼女を見つけることはない。
わかっているのは彼女は見ている時間帯がいつも違うこと。だから、いつのまにか、あ、いたんだって感じ。
気がついた初めの頃はファンかストーカーかって考えたことがあったけど、すぐに違うことがわかった。
彼女は長居はしない。立ち止まって、ちらっと見て、曲を確認したら去るくらいのスタンス。
ただ、ここ、二、三日は同じ時間にこの曲を弾いている。
彼女は格子に近づき立ち止まり、この曲が途切れたら、去る。
修正しながらだから、通しで弾くことは、あまりない。
彼女もこの曲が好きなのかな。
たぶん、そう。
いつか、通しで聴かせたい気がするけど、神出鬼没だからな。
あれ、誰?
気がついたのは、その女性の持っているバック。
彼女と同じだけど、髪が無くなっている。というか、すごいショートカットになってた。
何があったんだろう。
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