第1章

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 気になっていたところで、彼女とついに知り合った。  野田と待ち合わせた、地元の居酒屋。  驚いた、彼女の連れが高校の先輩だった。年上ってことかな。  会話を盗み聞ぎ。  うなじが弱いこと。  働いてるところでトラブルがあったこと。  たぶん、それが原因で髪を切ったらしいこと。  まちかさんとの会話は尽きない。  ふいに、指を触れられて、必死に謝る彼女に意地の悪いことを言ってしまった。  『指触んないで、商売道具だから』  これは、本当に気に入らない相手に使うセリフ。  一瞬、悲しそうに瞳が揺れた彼女。ヤバいって思った。  ケド、すぐに立ち直って、変なことを言い出した。  誰がホストだって?  ただの能天気な変な女だと思った。  だから、そのあとのことは結構、衝撃。  いや、ドクタからホスト、音楽家への切り替えの早さで気付くべきだったんだけど。  店を出て、前を歩く彼女。  帰路が同じってことは、ウチを通り越したところに彼女の住処があるということ。  変な女だけど、ウチまでくらいは見守ろうかなと歩を合わせる。
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