3人が本棚に入れています
本棚に追加
「…んん…」
朝か…
目は開けていないが、明るい光があるのがわかる。
目を閉じたまま、夜にあった出来事を思い出す。
リータと手を繋いで歩けるようになって…空中も歩けて…一緒にアバンチュール・イルに来たはず…
今思うと、とても現実味の無い話だ。
あれは夢だったのか。
そうか、夢か。
夢というものは、都合のいいものだ。
じゃあここはいつもの私の部屋で、いつもと同じ朝なのか。
少し寂しい気もしたが、楽しい夢だった。
と、目を開けると
つり目で長い髪の女の子の顔がどんと目に入った。
「きゃああ?!」
私は驚いて声を上げ、起き上がった。
あたりを見回すと、ここは私のあの質素な部屋ではなかった。
ここはどこだ。
つり目の女の子は私の顔をじっと見て言った。
「…あんたが、レノア?」
「は、はい…そうですが…ここは…?」
「ここは私とリータの家よ。リータが気絶したあんたを担いで来た時は驚いたわ、それで今まであんたはここで眠ってたのよ」
リータの家…?
ここは壁が丸太でできていて、中心には大きく太い柱が立っているログハウスだった。
窓から差し込む光がこの部屋を明るくしてくれる。
あれは、夢ではなかったのか!
最初のコメントを投稿しよう!