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リータは木の柱によりかかってた。
「ん?んー…俺はときどき現世界に来るんだ。まぁすぐ帰るんだけどな。結構俺らからしたら現世界って面白い所でさ、想世界にはない物がたくさんある。それらを調達してたら…」
「おゥ小僧、まいどあり!」
太ったエプロンを来た八百屋の店主がリータに笑顔で言った。
リータは八百屋の店主に訪ねた。
「なぁおやっさん、アバンチュール・イルって信じるか?」
八百屋の店主は細い目を大きく開けた。
「んん?信じねぇなだっはっは!そんなモンあったらもっとこの町は景気がいいってもんよ!」
「ふーん…そっか」
「なんだァ?小僧は信じてんのか?青いなァがっはっは!」
「っていうことがあってな、信じる奴に会いたくなって、アバンチュール・イルに連れてってやりたくて、信じてる人を探して、レノアに辿りついたんだ。」
リータはへらっと笑う。
リータはとってもお人好しなんだろう。
「そっかぁ…」
私も柔らかく微笑む。
パルチェちゃんがお茶を汲みながら言った。
「あとリータ、あんまり現世界には行かないでよ」
リータはきょとんとした。
「へ?なんで?」
「その…ほら、想世界から現世界に行くことは法律で禁止されてるでしょ?かなりの重罪だったはずよ、だからやめた方がいいわ…それに」
リータは首をかしげた。
「それに?」
「…ッ!なんでもない!とにかく捕まりたくなかったら行かない事ね!」
パルチェちゃんの顔は真っ赤だった。
…想世界から現世界に行くのは禁止されていたのか…
リータはそこまでして、冒険がしたかったのか。
心の奥が熱くなった。
そして私なりに考えると、きっと寂しいんだと思う。
現世界では少しの間でも想世界では何日もの時間、パルチェちゃんは1人で暮らしているのだ。
だから法律の事もあるし、行かないで欲しいのだ、と私は思った。
リータはよくわかっていないようで、「んー、まぁ、うん」ととりあえずに返事をしていた。
パルチェちゃんは少しほっとしたようで、赤かった顔はもう戻り、大きなつり目は私を見た。
「レノア…さん、アバンチュールが好きなんでしょ?リータはアバンチュールのカリルッタの子孫なのよ」
「へぇ~!子孫なんだー!へぇー……って、え?!?!」
私は聞き流しそうになった所で気付き、驚いた。
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