3人が本棚に入れています
本棚に追加
誰だ。この少年は。
法的に言えば不法侵入だ。
とにかくここは強く言って相手を威圧しなければ!
「あなたは誰?どうやってここから来たの?答えられないなら館の者を呼ぶわよ!」
かなり強気で言った。
こんな風に人に強く言ったのは初めてかもしれない。
「ん~?困ったなぁ…」
少年はまた頭をポリポリと掻いた。
強気で言った意味はないのか…
「俺はリータ!えーと、今までずっとお前を探してたんだ、それで急に鳥につつかれてさぁー…落ちてきた!」
私を探していた?鳥につつかれた?
わけがわからない。
だけどなんだか彼は嘘をつけるような人には見えないし、鳥につつかれたような傷もあり、本当なのかと信じてしまう。
「私を探していたってどういう事?」
私はずっとこの塔にいるから誰ともあまり関わっていなかった。
それなのになぜ私を探すような人がいるのだろうか。
「ん?レノア アンっていう娘を探してるんだけど、お前だよな?」
?
レノア アンは他の誰でもない、私の名前だ。
「…私だけど」
リータの顔はぱぁっと明るくなった。
「おお!やっぱりお前か!よし、来て欲しいところがあるんだ、行くぞ!」
リータは私の手首を掴んでどこかに行こうとしていた。
「えっ?えっ?」
私は今からどこに連れてかれるのだろうか。
「どこに?!」
私は大きな声でリータに聞いた。
「ん?あぁ、アバンチュール・イルさ!とにかく来てもらわなきゃ困るんだ!」
アバンチュール・イル?
アバンチュール・イルとはあの伝説アバンチュールに出てくる島の事では?
アバンチュール・イルは存在するのか?!
「待って!」
リータの私の腕を引っ張る力がピタっと止まった。
リータは振り返り、頭の上にクエスチョンマークが見える。
どちらかというと今は私の方がクエスチョンマークがあるべきだと思う。
いきなり空から現れた少年に伝説の島のアバンチュール・イルに連れていかれる?
どう聞いても理解しがたい。
「アバンチュール・イルって存在するの?」
でも、彼の言っていることが本当なら。
私は、アバンチュール・イルに行きたい。
私はリータを強く見つめた。
リータも目を離さなかった。
「在るよ」
「!」
リータの表情に嘘は無かった。
私は息をのんだ。
最初のコメントを投稿しよう!