第1章 現実

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誰だ。この少年は。 法的に言えば不法侵入だ。 とにかくここは強く言って相手を威圧しなければ! 「あなたは誰?どうやってここから来たの?答えられないなら館の者を呼ぶわよ!」 かなり強気で言った。 こんな風に人に強く言ったのは初めてかもしれない。 「ん~?困ったなぁ…」 少年はまた頭をポリポリと掻いた。 強気で言った意味はないのか… 「俺はリータ!えーと、今までずっとお前を探してたんだ、それで急に鳥につつかれてさぁー…落ちてきた!」 私を探していた?鳥につつかれた? わけがわからない。 だけどなんだか彼は嘘をつけるような人には見えないし、鳥につつかれたような傷もあり、本当なのかと信じてしまう。 「私を探していたってどういう事?」 私はずっとこの塔にいるから誰ともあまり関わっていなかった。 それなのになぜ私を探すような人がいるのだろうか。 「ん?レノア アンっていう娘を探してるんだけど、お前だよな?」 ? レノア アンは他の誰でもない、私の名前だ。 「…私だけど」 リータの顔はぱぁっと明るくなった。 「おお!やっぱりお前か!よし、来て欲しいところがあるんだ、行くぞ!」 リータは私の手首を掴んでどこかに行こうとしていた。 「えっ?えっ?」 私は今からどこに連れてかれるのだろうか。 「どこに?!」 私は大きな声でリータに聞いた。 「ん?あぁ、アバンチュール・イルさ!とにかく来てもらわなきゃ困るんだ!」 アバンチュール・イル? アバンチュール・イルとはあの伝説アバンチュールに出てくる島の事では? アバンチュール・イルは存在するのか?! 「待って!」 リータの私の腕を引っ張る力がピタっと止まった。 リータは振り返り、頭の上にクエスチョンマークが見える。 どちらかというと今は私の方がクエスチョンマークがあるべきだと思う。 いきなり空から現れた少年に伝説の島のアバンチュール・イルに連れていかれる? どう聞いても理解しがたい。 「アバンチュール・イルって存在するの?」 でも、彼の言っていることが本当なら。 私は、アバンチュール・イルに行きたい。 私はリータを強く見つめた。 リータも目を離さなかった。 「在るよ」 「!」 リータの表情に嘘は無かった。 私は息をのんだ。
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