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「きゃあああああああああ?!?!」
私はリータと一緒に窓から飛び出した。
すぐ空中を歩けると思ったが、そうではなく、今塔から真っ逆さまに落ちているのである。
「あーっはっはっは!」
リータは大きく口を開けて笑っている。
こんな時になぜ笑っていられるのか。このままだと絶対死ぬ。
「レノア、しっかり俺につかまれよ!
よっと!」
私は言われなくてもリータにしがみついていた。
リータはタンと地面の方の空中を蹴り私とリータは勢いよく空へと登った。
気づいたらさっきの塔の窓よりも少し高い位置にいた。
もう失神寸前だった。
リータが私の肩を抱く腕を退けた。
すると、ふわりと私は空中で立つことができた。
そこまで高い所が怖い訳ではなかったので、恐怖よりも感動が生まれた。
「す、すごい…」
さっきまで地面に立つことでさえ難しかったのに、今はもう空中で立てる。
これも全てリータのおかげである。
しかし、空中で立っているという事は、地面に足がついている感覚がないのに立っているというわけだ。
高い、足の届かないブランコに乗ったような気分だ。
あまり、いい気分ではない。
私が黙り込んで足元を見ていると
「…あーなんか空で立ってるって気持ち悪いか?俺も最初そうだったんだ、まぁ慣れてくればなんとも思わないけどな」
そうなのか。
人生、何事も慣れなのだな、と感じた。
「よし、行くぞ!」
リータは私の手を引いて空を駆け出した。
私も一緒に走る。
やはり、なんだか空中で走っているというのは変な感じがする。
だがそんな事は考える暇もなく夢中で走る。
星空の中を私とリータは駆けていった。
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