第1章 現実

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「きゃあああああああああ?!?!」 私はリータと一緒に窓から飛び出した。 すぐ空中を歩けると思ったが、そうではなく、今塔から真っ逆さまに落ちているのである。 「あーっはっはっは!」 リータは大きく口を開けて笑っている。 こんな時になぜ笑っていられるのか。このままだと絶対死ぬ。 「レノア、しっかり俺につかまれよ! よっと!」 私は言われなくてもリータにしがみついていた。 リータはタンと地面の方の空中を蹴り私とリータは勢いよく空へと登った。 気づいたらさっきの塔の窓よりも少し高い位置にいた。 もう失神寸前だった。 リータが私の肩を抱く腕を退けた。 すると、ふわりと私は空中で立つことができた。 そこまで高い所が怖い訳ではなかったので、恐怖よりも感動が生まれた。 「す、すごい…」 さっきまで地面に立つことでさえ難しかったのに、今はもう空中で立てる。 これも全てリータのおかげである。 しかし、空中で立っているという事は、地面に足がついている感覚がないのに立っているというわけだ。 高い、足の届かないブランコに乗ったような気分だ。 あまり、いい気分ではない。 私が黙り込んで足元を見ていると 「…あーなんか空で立ってるって気持ち悪いか?俺も最初そうだったんだ、まぁ慣れてくればなんとも思わないけどな」 そうなのか。 人生、何事も慣れなのだな、と感じた。 「よし、行くぞ!」 リータは私の手を引いて空を駆け出した。 私も一緒に走る。 やはり、なんだか空中で走っているというのは変な感じがする。 だがそんな事は考える暇もなく夢中で走る。 星空の中を私とリータは駆けていった。
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