Postscript 1

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 窓から空を見上げていたタイガは溜息を吐くと、リーゼントを気にしつつ、お馴染みの制帽を被った。  そして身につけるべき武器、備品を確認し、残っていたラムネを一気に飲み干した。  あれこれ考え、思い悩んでも仕方がない。まずはこの派出所勤務を終え、中央署へ戻るのが先だ。  それに署へ戻れば、いずれきっと慎吾に会えるだろう。その時こそ、必ず捕まえて自分のものにすると、タイガは心の中で決めていた。 「じゃ、山田サン。俺、見回りの時間だからよ。ほら、茶はその辺にあるから、適当にしてってくれ」 「ええっ? ちょっと、虎屋さん!」  引きとめる声を無視し、深く制帽を被り直す。それから玄関横の古びた自転車に跨ると、タイガは軋むペダルをこぎ出した。
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