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謎の小瓶
親が共働きなので、昔から、近所にあるじいちゃんの家で夕食を食べることが多い。
その食卓に、いつも、何だか判らない小瓶が置かれていた。いや、正確には、じいちゃんが自分の隣にこっそり置いていた、だな。
中身は見たことがないから知らない。
自分の横に小瓶を置き、時々中をつついているようだけれど、それでも瓶の中身が何なのか判ることはなかった。
その内、母親の仕事内容が変わり、家で食事をするようになって、じいちゃんが食べていた謎の小瓶のことは忘れ果てていた。
あれから十数年。
じいちゃんは亡くなり、一人になったばあちゃの気晴らしにと、たまに家を訪ねているのだが、今日行ったら、台所の棚に懐かしい小瓶を見つけた。
間違いない。じいちゃんがいつも食べてたあれだ。でも、どうしてこの小瓶がまだあるのだろう。
じいちゃんが亡くなってもう何年も経っているし、ばあちゃんがこれに手をつけることはなかったから、引き継いで同じ物を買い、食べてるとは考えられない。
まさかとは思うけれど、じいちゃんの死後、ずっとそのまま放置されているとかなのか? だとしたらこの中身は…うう、考えたくない。
間違いなく腐ってるんだろな。ゴミの仕分けの観点からいくと、きちんと洗って資源ゴミに分類すべきなんだろうけれど、正直、開けたくない。だから、このまま捨てちゃってもいいよな?
指だけでつまむように瓶を持ちあげる。それをぽいっとゴミ箱へ…捨てかけて、長年の疑問がむくむくと頭をもたげた。
そういや、これの中身って何なんだろう。
濃い茶色の瓶は、外からどれだけ見回しても中が見えない。蓋は白い無地の物だしラベルも貼られてはいない。
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