第1章

7/30
前へ
/30ページ
次へ
 あの男の関係者か……? さすがに相手が誰かだったなんて当時のユージは知る気もなかったが。だがFBIには事件記録として残っているはずだ。  ……そしてもう一つ…… 「?」 「こいつは…… 問いたださないといけないな」  ユージはなんとなく糸口を見つけていた。もしその線が全て繋がったとしても手がかりの一つにしかならないが、恐らくこの手がかりはマフィアも警察でも分からないだろう。 「なんかわかった顔して…… ユージ教えなさーーーい。心読むどぉ~♪」 「お前に読まれる俺か」 冷たくあしらうユージ。確かにサクラの能力は一般人には有効だが、JOLJU・エノラが体内にあるユージには効かない。 「とりあえず帰ろう。拓、明日は本部である事件の資料と、その首謀者のことを調べてくれ。サクラかJOLJU連れて」 「なんで?」 「フランス語かドイツ語が必要になるかもしれん」 「あー、あたしらは通訳って事ね」 「ここでどの事件か教えてくれよ。なんでいえないんだよ」 「事件番号覚えてないから本部か自宅に帰らんと、どの事件番号だったかわからないんだよ。だから、このあと自宅で教える」 「……つまり、俺もお前ん家行けって事ね……」  ユージは黙って頷いた。つまり、ユージ、拓、サクラと三人揃ってエダに怒られ、今回の事件の釈明を皆でしよう、という意味だ。ユージにとっては今一番恐ろしいのはエダなのである。このあたりの発想は親が怖い小学生と殆どかわらないのであった…… そして案の定……エダに叱られ、心配で泣かれ、そしてくどくど説教を受ける三人であった……  立ち込める煙の中、ユージはDEを捨て、部屋に隠してある9ミリオートを取った。必死に気配を探る。 ……6人……  部屋には襲撃者の死体が5つ…… 近くで護衛捜査官が倒れている。まだ死んではいない。彼の容態も気になったが、今はそれどころではない。あと一人、残っている。  ……こいつは、相当なプロだな……  容易に撃ってこない。この光のない真っ暗な中で、マズルフラッシュは居場所を知らせるものになる。相手はナイトスコープを搭載したG36Kを持っていた。だが先ほどまでの銃撃戦で少なくとも全員撃ち倒した。だが、指示を出していたリーダーの男は防弾チョッキで助かり、その後しばらく両者激しく撃ち合った。そして右腕を撃ち抜いた。そこから男は闇に潜った。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加