第1章

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 同じくユージも今、闇に潜っている。ユージは夜目が利く。ナイトスコープは必要ない。  ……逃げてはいない……まだいる……  微かに感じる殺気……まだどこかにいる。  ユージはソファーの影から出た。そして壁を背にする。  その時、黒い影がユージを襲った。男が現れた。獲物は戦闘ナイフだ。戦闘のプロなら、黒闇の中接近してしまえば銃よりナイフのほうが強い。ユージは銃をズボンに差込み、攻防の末相手を投げ飛ばし、死んでいる刺客のベストからナイフを奪い取った。  そこからは一進一退の白兵戦だった。  男は強かった。だがユージもこのテの乱戦には自信がある。やがてユージに投げ飛ばされ、ナイフを手放した男は、ユージに喉を掴まれた。  それが勝負の決着の時だった。  ユージは容赦なく、一瞬の内に相手の首の喉と気管と頚動脈を握り潰した。喉は破裂し、血を拭き零しながら男は力なく膝を付いた。 「お前は……死神か」  男が呟いた。だが喉を潰されては声が出ない。瞬く間に血が肺に入り、心臓への酸素が止まる。死は確実だ。ユージは9ミリオートの銃口を向けたが、その必要はなかった。ただ最後男は笑いながら一言呟いた。 「●●●にいずれ殺されろ」  よくは聞き取れなかった。少しロシア訛りのある英語だった。  ユージは部屋の電気を着けた時には、すでに生きているのは護衛捜査官だけで襲撃者は全滅していた。応急手当し、本部に電話し、救急車を呼んだ。  ふと興味がわき、襲ってきたリーダーの男の覆面をとった。白人で、髪も短くマフィアというより軍人に見えた。だが、この男が何者だったのかまでは、ユージは気にもとめなかった。ほぼ毎日死体を製造しているのだから……  ……昔の話である……
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