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「真剣に婚活しないとダメな気がする!」
手に持っていたヨーグルトスムージーを勢いよくテーブルに置いて、美香は叫ぶように宣言した。
美香は恋に命懸けの女だ。
出会えた運命の男は数知れず。
ある時は会社の不倫上司、またある時はSNSの顔すら知らない男、またまたある時は自宅に来たセールスマン。
「今度こそ運命なのよ」と言いながらも、彼女は毎回塩辛い涙で枕を濡らしてきた。
見た目は普通の綺麗なお姉さんなのに、どうしてこうも男の見る目が無いのだろう。
「婚活するなら、あんた自分で探すのをやめてみたら? 結婚に向いてる男と恋愛に向いてる男は別っていうじゃない」
既婚者であるの私の助言は、美香の心に響いたようだ。
彼女はしばらく考えた後、分かった、と席を立った。
これで長時間失恋の愚痴を聞く苦行から逃れられると内心私もホッとした。
もちろん、純粋に彼女の幸せも願っている。
数週間後美香から連絡が入り、いつものカフェで待ち合わせをした。
遠くから歩いてくる彼女を見て、私は本当に驚いた。前も十分に綺麗な子だったけど、少しスリムになって更に綺麗になっていたからだ。
私を見つけた美香は、はにかみながら向かいに座った。
「あの時アドバイスを貰ってから、自分で探すのをやめてみたの。
そうしたら……出会えたの」
幸せそうに微笑む美香は本当に幸せそうだ。
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