1章:告白

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「じゃー、お疲れ様でした、秋野(あきの)さん」 宮沢さんはそう言ってピンクのカバンを手に立ち上がった。 「はい、お疲れ様でした」 「あっ、今日、飲み会があるんですけど。秋野さんも来ます?合コンみたいな感じなんですけどー。秋野さんて今フリーですよね?友達が秋野さんに会いたいって言っててー、どうですか?」 「あー、すみません、今日は用事があって。また誘ってください」 俺はできるだけ残念そうに聞こえる声をだし、そう見える表情を作った。宮沢さんはそうですかあ、と何とも思っていないように返事をする。 「秋野さん、もったいないですよ。まだ25歳で、若くて、かっこいいのに。もっと楽しんだ方がいいですよ、人生を!」 「……そうですね」 「じゃ、お疲れ様です!」 宮沢さんは颯爽と踵を返し、裏口に向かって去って行った。俺は頭を掻いてそれを見送る。 「……余計なお世話だっての」 本当に。小さな声で毒づくしかできない自分の情けなさ。俺はため息をついた。俺も帰ろう。自席の上に置いてあるカバンからスマホを出して、一応着信をチェックする。ラインが1件。【紫織】という名前と共に、【今日会える?】というそっけない本文。俺は少し考えてからそれに既読をつけ、会えない、とだけ返信した。
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