バタフライエフェクト

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「え、これって、まさか....」 父さんはそれを見上げたまんま、応えた。 「ああ、オオルリシジミだ」 そこには、夕焼けを全身に受けて、煌びやかに羽ばたく、オオルリシジミが、信じられ無い数の群れをなして、夕日に向かって飛んでいた、いったい何十匹、いや何百匹いるのだろう、僕は夢でも見ているのかと、目を疑った。 おびただしい数の蝶の群れは、陽の光の朱と青色の羽が合わさり紫色に輝いていた、その紫煙のようなカーテンが時折、夕日を優しく遮ると、幻想的なベールの魅惑に心奪われた。 「絶滅したんじゃ無かったんだ」 僕と父さんは呆然と立ちすくみ、その命の輝きに目を奪われていた。 「父さんもそう聞いていたが、生き延びていたんだな、こんなのは初めて見た」 「凄いね」 「ああ、凄いな」 蝶々の群れは一条の帯となり、山間に落ちる夕日と共に、儚くも消えていった。 その後も、二人は暫く動けなかった。 夢じゃない、何度も自問した、どんな理由があるのだろうか、どのくらい偶然が重なったら、それを奇跡と言えるのだろうか。
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