休眠ダンジョン

4章：起きたはいいけどやることない

「なんだ」

出鼻を挫かれたせいで憮然とした声が出た。でも仕方ない。聞くだけ聞いてやるか。

「はい、潜入にあたり服装をご用意していただけないでしょうか。このままでは潜入どころでは…」

言われて気づいた。アルファ達って裸だな。あまりに自然に受け入れていたから服なんて考えてなかった。

「あ～…そうだな、ちょっと待ってろ」

「はい」
「は～い！」

スマホを取り出した。服ってどっかで見た気がするんだよな…どこだったっけなぁ…

適当に操作して数分、お目当ての衣類を見つけた。数は…数えるのも億劫になるほど。えぇ…ここから決めるのかぁ？

俺の優柔不断さを甘く見るなよ。ここから２時間は使えるね。覚悟しとけよ、この野郎が。

まずは上からだ。どれにしようか探そうと初めて詳しく見て止まった。服の最初に『更衣室』と書かれたものがあった。

見た目は服屋であるようなカーテンで仕切られたアレだ。説明によると中に入ると好きな服に着替えられるようだ。

消費ポイントは１０万。服が上下で合わせて10ポイントなのを考えると高い。けど、保有ポイントから考えれば微々たるもの。

これがあれば俺が服を考える必要がなくなる。迷わず『更衣室』を押した。