それは緩やかに蝕む不治の病のように

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その日も僕は、パンの焼ける香ばしい香りに誘われて目を覚ました。 あくび混じりで食卓に向かえば、トーストにスクランブルエッグ、サラダとミルクにデザートのフルーツまで、すでに朝食の準備が整っている。 今や当たり前の全自動家事システムとはいえ、僕が子供の頃はいちいちタイマーなどの設定が必要だった事を考えると、ずいぶん進化したなあ、と思う。 そんな事をぼんやり考えながら朝食を終えると、すみやかに食器が収納され、テーブルも自動的にキレイに磨かれる。 メイドロボット型を好む人もいるけれど、僕はこの家具一体型の方がスマートな感じがして好きだ。 それに僕には『同居人』がいるから寂しくはないしね。 と、足元に気配を感じて目をやる。 そこには、こちらも朝食を終えたらしい『同居人』――もとい、同居『犬』のハッピーが、遊びに行こうと言わんばかりに期待に満ちた目で僕を見上げていた。 「よーし、じゃあ……公園にでも行こうか」 そう言うと、ハッピーは嬉しそうに「わんっ」と鳴いた。
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