それは緩やかに蝕む不治の病のように

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「……ヒトもイヌも変わらない……か。幸せそうね、あなたたち」 その声に、ぼくはゆっくり目を開ける。 10代くらいの若い女性のようだ。 憂いを帯びた表情、というのだろうか。なんだかとても悲しそうな顔をしている。 「……あなたも、大事なものをなくしてしまったみたいね」 「大事なモノ……?」 なんだろう、全く心当たりがない。 「……ごめんなさい、わからないわよね。あなたには『それ』が『当たり前』なんだから」 彼女はそう言ってまた悲しそうにため息をつく。 「ねえ、聞いてもいい?あなたは……人間は、ホントウに幸せ?」 「そりゃ、もちろん。ロボット様様だよ」 僕はそれは自信をもって答えた。 だってこんなに毎日楽しく暮らしてるんだから。 「……そう。なら、いいけど」 彼女はそう言って小さく笑い、そしてフッと消えた。
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