それは緩やかに蝕む不治の病のように

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◆ 「わんわんっ」 ハッピーの鳴き声で、僕は完全に覚醒した。 今のは何だったんだろう?やっぱり夢だったのかな? 辺りを見回せば、いつもの公園の景色だ。 3Dスクリーンには、新たな技術開発のニュースが流れる。 「へえ。病気予防に人工臓器への交換かあ。病気の心配しなくていいなら、一回、僕も診てもらおうかなあ」 「わんわんっ」 「ああ、わかったよ、ハッピー。そろそろ帰ろうか」 ハッピーに急かされ、僕も立ち上がる。 ふと、視線を感じて振り返る。 しかしやっぱり誰もいない。 誰もいない……けど。 僕は『彼女』が、あの悲しそうな目で『僕達』を見ている気がした。 終
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