第1章

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誰もいない教室に帰ってくると、鞄や机の中身がぶちまけられていた。 西日の当たる窓際の一角だけが、竜巻の被害に遭ったかのようだ。 A子は倒れた机と椅子を元に戻して床に跪き、散らばった教科書やノートに手をやった。 ふと遠くの方で人の気配がかすかにした。 悪い予感がする。 A子は急いで私物を鞄の中にかき入れた。 教室を抜け出して、階段を滑るように駆け下りた。昇降口へ飛び込んで、下から二番目の靴箱から靴を取り出し、中を見てほっとする。糊や絵の具は入っていない。代わりにあった画鋲を取り除いて靴を履き替え歩き出した。 空はいつしか汚れた雑巾のような雲が垂れ込めて輝く西日を飲み込んでいた。
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