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公園を通りかかったとき、A子は少年が転んで膝や手のひらに怪我をするのを目撃した。
A子は泣きべそをかく少年に近寄って、
「泣かないで、大丈夫、全部夢にしてあげる」
そう言いながら目を閉じて、ふたたび開けると少年の怪我はすっかりなくなっていた。
少年はさっきまで自分の膝にあった怪我がA子の膝にそっくり移っていることに気がついた。
「お姉ちゃん、血が出てる!」
「わたしなら平気。もうお家にお帰り」
「わぁ、お姉ちゃん、ありがとう!!」
少年の屈託のない笑顔を見たら、A子は心がすーっと軽くなったような気がした。
わたしが身代わりになれば誰も傷つけないんだ。人が幸せになるのって気持ちいいな。
怪我は心地のよい痛みに感じた。何より自分が生きている気がした。
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