第1章

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強い雨と風にさらされ、身体が濡れる。 女の喪服も水に濡れ、所々――染みになっている。 納屋までたどり着き、女がカタカタといわせながら、戸を開けた。 納屋の中に入っていく女に惹かれるようにして、ふらふらと一緒に入る。 納屋の中は薄暗くて―― 雨と風の音が支配するなか、女がコトリと小さな音をたてながら、白い箱を置いた。 そうして、喪服の帯を解き始める。 「ちょっと……何をやって!?」 あわてて止めようとするのを無視して、女は喪服を脱ぎ始めた。 「濡れたから」 そう言いながら、喪服を脱ぎ捨て―― その現れた白い背中にあるものを見て、息を呑む。 白と黒の中から出てきた―― 紅い紅い―― 『彼岸花の刺青』 その朱に―― めまいがする。
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