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強い雨と風にさらされ、身体が濡れる。
女の喪服も水に濡れ、所々――染みになっている。
納屋までたどり着き、女がカタカタといわせながら、戸を開けた。
納屋の中に入っていく女に惹かれるようにして、ふらふらと一緒に入る。
納屋の中は薄暗くて――
雨と風の音が支配するなか、女がコトリと小さな音をたてながら、白い箱を置いた。
そうして、喪服の帯を解き始める。
「ちょっと……何をやって!?」
あわてて止めようとするのを無視して、女は喪服を脱ぎ始めた。
「濡れたから」
そう言いながら、喪服を脱ぎ捨て――
その現れた白い背中にあるものを見て、息を呑む。
白と黒の中から出てきた――
紅い紅い――
『彼岸花の刺青』
その朱に――
めまいがする。
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