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「お父さんが」
背中を向けたまま、女が語る。
「お父さんが言ってました」
“お前は彼岸花だ”
“美しい紅い華の下に毒を持つ彼岸花そのものだ”
女の背に。手を伸ばそうとする。
「いいの?」
ビクッとなり、手が止まった。
「私は……彼岸花ですよ? 貴方も殺してしまうかもしれない……」
“死にたいの?”
女が艶やかに笑いながら、振り向いた。
父と母の言葉が頭をよぎる――
“風呂で溺れた”
“殺された”
頭をよぎるのに――
手が。身体が。
彼岸花の女を求める――。
「しようのないお人……」
女が笑いながら――
抱きついてきた。
そのまま、押し倒し、乳房を強く握りしめ――
突端の蕾を舌で転がす。
女が嬉しそうに声をあげた。
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