第1

3/6
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
北海道の春は桜がない。ましてや緑もない。 肌寒い中うっすら山が雪をかぶっていた。 自分は無事に高校受験を合格し、道内中で最も田舎の高校に進学した。 別に転校したとかではなく、自分の意思でだ。 たまたま自分のやりたい進路の学科があったのもある。 ただほんとにそれ以外今の自分には興味が無い。 明後日はその高校の入学式、自分は一人暮らしをはじめるため今日から地元の札幌からさり、その田舎へ電車とバスを使って行く。 それなりに仲のいい友達にはさよならという言葉と次の再会を約束する言葉は交わした。 実際のところもう会う気はない。 どうせ俺のことなんてすぐ忘れるくせに... そう考えてしまうのは、小学校の時に仲良かった友達が中学校に入ってから手を返すように冷たくなった。 中学3年になった時にあらためて話す機会があったが、全部卒業後の思い出のためだろう。 綺麗な思い出なんていらない。 そうひねくれた考えをしてしまう自分が怖かった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!