第4章 狂い桜のリビングデッド

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「はい! 私は神楽坂さんの行くところどこにでも着いていきます! たとえ火の中、水の中、限界集落の中! 一緒に旅行できるなんて夢みたいです」  聞かれてもいないのにレイアは即答した。 「……」 「神楽坂さんに救われて、私すっかり先輩のファンなんです! お姉さまと呼ばせてください!」 「……却下です」  レイアからの強烈なアプローチに愛里はため息を漏らす。この帰省話もいったいどこから仕入れてきたのか。研究室のお茶室の扉を開けたら笹島助教とレイアが団らんしていたときの衝撃は忘れられない。戸惑う愛里にレイアは目を輝かせてこう言い放った。 『私も連れて行ってください!!』  圭太にレイアの話をしたら、むしろ是非連れてこいと言われ、愛里は引き下がるしかなかったのだ。  改めて。  ……なぜこんな賑やかなことに?  彼らは比久羅間村がどんな場所なのか知らないのだ。だから、こんなに気軽に誘われて旅行感覚でついてくるのだ。  ふたりに慕ってもらって悪い気はしないが、愛里の帰省に付き合わされたふたりが気を悪くしないか――それが今の愛里の懸念であった。  それに、どうも平穏な帰省にはならなそうな予感がしているのだった。
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