第4章 狂い桜のリビングデッド

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 何でこんなことに? その言葉を颯太は?み込んだ。そう叫びたいのは愛里のはずだ。 「か、神楽坂さん、しっかりしてください。まだ、絶望するには早いですよ」  かけたい言葉はたくさんあった。けれども、どれが正しいのか颯太には分からなかった。  颯太の言葉は空しく響いた。  瞬間、愛里の瞳が熱を帯びた。 「適当なことを言わないでっ。私は癌の研究をしているんです! 福豊くんよりっ……!」  愛里が声を荒げた。颯太はその剣幕に思わずたじろいだ。  愛里の瞳がすぐに後悔の色に変わる。 「ごめんなさい、私……。福豊くんは心配してくれているだけなのに」 「いいんです。無理もないです」 「ごめんなさい……ごめんなさい……」  その懺悔(ざんげ)は誰に向けられたものなのか。  颯太に向けたものなのか。  それとも、今まで故郷を嫌っていたことを悔いての謝罪なのか。  親を疎ましく思っていたことへの懺悔なのか。 「ごめん……なさい……」  何回も繰り返される“ごめんなさい”に颯太の心は潰れそうだった。  愛里の肩の震えを止めたくて、颯太は彼女の肩に手をかけた。  とても小さくて、こんな小さな双肩に研究や村や今まで彼女が解決してきた数々の事件が圧(の)しかかっていたのかと思うと泣きたくなった。  愛里が颯太の腕を強く掴んだ。  強く、強く、縋るように……――。 第4章 狂い桜のリビングデッド・完 To be continued...
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