第1章

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彼はもう死ぬ間際なのだろう。そしてそばにいる人は誰もいない。友達も家族も兄弟もすべて彼にはいなかった・・・・彼はほんとにもともとの性格が内向的だからなのか。だからこそ彼は家族ぐらいしか話し相手がいなかったのかもしれない。 そしてその家族ももう他界してしまった。まさに天涯孤独。ほんとに嫌になっている本人がいた。 「もっと人と話せばよかった」 彼の一つ目の後悔である。 そう、もっともっと人と話せばよかったのである。そうすればこんなホームレスみたいなことにもならずに誰かの横で死ねたのかもしれない。彼の一つ目の後悔だった。 「寂しい」 なぜ私は結婚しなかったのか。 彼の二つ目の後悔である。 結婚していれば妻と子供、そして家族がいてその子供がまた孫を連れてきて楽しい人生だったのかもしれない。そしてたとえリストラされたとしても妻と子供のためにもっともっと頑張れたのかもしれない。 それが彼の二つ目の後悔だった。 「悲しい」 なぜ私はもっと子供の時から夢を持っていなかったのか? それが彼の三つ目の後悔だった。 そして彼の最大の後悔なのかもしれない。彼にとって夢を持つことはあったのかもしれない。しかし時間がたつにつれどんどん自分の目標と社会に押しつぶされてしまったのか?彼にはその夢が今となっては何だったのかわからない。 もしも私に夢があったのならもっともっと頑張って生きてこれたのかもしれない。 「面白くない」 彼はこのまま死んでいく。そして彼は人生とは何だったのかと思い、そして誰も知らない場所で、そして誰もいない場所で死んでいく。そこにあるのは後悔と時間の怖さ、そして人生の怖さがそこには詰め込まれていた。
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