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明日は休日で、さて何をしようかと話しながら歩く。
もう隣に居るのは当たり前で、昔からずっとこうだったようだと彼女も言った。
変なの、と彼女は言ったけれど、僕には何もおかしく感じない。
ずっとずっとこうだった。だから自然に僕は左側を歩いているし、信号待ちでは意味もなく二人でじゃんけんをする。
「やった、勝った」
にぃっと笑った彼女が、青く変わった信号を見て僕の一歩先を踏み出した。
そこに躊躇いもなく大型車が曲がってくる。
悲鳴も何も聞こえない内に、僕の周りの時が止まる。
彼女の姿はふちだけはめられたパズルに変わって、ピースが辺りに散らばっている。
完成している枠には彼女の名前、周りのピースには彼女に関係する文字が書かれている。
彼女の背丈と同じくらいのパズルがあるだけで、事故の形跡は微塵も無い。
他の人間も一人も居なくなって、もちろん車も走っていない。
僕以外に唯一動いているものと言えば信号機ぐらいだ。小さい頃に不気味に感じた童謡のメロディが流れている。
……異様なこの光景に僕が驚くことはもう無い。驚いている暇もないから丁度いい。
集まっているピースは彼女の存在だけを確保していて、周りにあるのは中身だ。
近くのピースの文字を確認して、真っ先に掴むべきものを判断する。
まず『家族』。今日この後帰るべき場所を忘れてしまったら彼女は困ってしまう。
眠って、明日目覚めて、また普通の一日を始められるように、ここを完成させよう。
両親と兄弟の名前の書かれたピースをはめた。そうするとそれらは繋がって大きい『家族』と書かれたピースに変化した。
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